being on the road...途上であること

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2005年 01月 17日

通過点

それは,きっと僕が今までに経験した中で,最も恐ろしい瞬間だった.

今まで僕は,そんなものは小説やTVの中で語られるものだと考えていたし,それが自分に降りかかろうなんて思ってもなかった.

その日,僕は通常では有り得ない強さの揺れを背中に感じ,目を覚ました.

別に地震の多い地域に住んでいたわけでもない僕は,数十秒後には収まるはずの揺れを無視し再び眠りに就こうとしていた.

数十秒後,本来すでに収まっているはずの強い揺れは,しかしながら,留まるどころかその強さを数倍に増し,僕の部屋全体を揺らし続けた.

いつも眠る間,つけたままにしている豆電球の光は強い揺れの半ばでその輝きを失い,冬の未明の暗闇の中でひたすら僕の部屋がきしむ音だけを聞き,ただひたすら絶え続けた.

いつ終わるのかさえ分からない極度の揺れの中で,言葉にできない程の恐怖を感じたことを覚えている.



あれから10年が経ち,街は本来の美しさを取り戻したように見る.

しかしそれはあくまで,外から見た光景であり,内情はそうではない.

震災をきっかけに,多くの企業が倒産或いは撤退する事態に追い込まれてしまい,失業率も震災以前と比べて依然高い.

関西経済が他の大都市圏に比べて極度に落ち込んでいることも手伝って,人々の生活はいっぱいいっぱいだ.

あの日,失われたものはもう戻ってくることはない.

「震災が奪ったもの 命 仕事 団欒 街並み 思い出」



それでも,たった1秒先の人生が予想できないからこそ,人は今この瞬間を精一杯生きていけるのだろう.

「震災が残してくれたもの やさしさ 思いやり 絆 仲間」

10年という節目を迎えて復興は完遂されてはいないけど,震災が残してくれたものを胸に抱き,再び復興へ歩き出さなければならない.

今はまだ,悲しみにも感慨にも耽っているときではない.

そう,未だ到達されることのない,長き道のりの途上であること.
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by beingontheroad | 2005-01-17 05:46 | メイン(仮)


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